当塾の春期講習は、初期の目的を果たして、昨日終わりました。
生徒の皆さんはこの一年の最初の部分をきっちりと掌中に収め、アグレシブに攻めるつもりで新学期に臨んでくれるでしょう。私は今後の、彼らの学校での優位を信じて疑いません。
公園の桜の花は、今は3分か5分咲きです。
卒業・入学と人々のあわただしい思いの後に、ほっとした思いと晴れ晴れとした気持ちで眺める櫻は、青春であれ、壮年の感傷であれ、私たちの心に思いを残します。
それは例えば、春とともに、私たちは、うららかな春の日差しの中で、自らの人生の重要な決定を下すからです。
長く東京都の知事を務めた鈴木俊一さんと言う方がおられました。当時大蔵省の役人だった彼はその時初めての東京都知事選に挑み、当時たまたま私が住んでいた、東京都小平市駅前に姿を現しました。お一人でした。日曜日の午前、駅前を散策していた私は知事を取り囲む10人ほどの聴衆の一人となっていました。
鈴木氏は、今と違って、外宣用のワゴン車もなく、幟もなく、また白い手袋もはめていませんでした。後に老練な知事となった鈴木氏はたった一人でマイクも持たず私たちに、肉声で何か一生懸命に語りかけていました。
ところが、空には飛行機が高くのんびりと飛んでおり、鈴木氏の言葉はしばしばその飛行機の音にかき消されました。私は鈴木氏の演説とは別に、春の日曜日の休日を、くつろいだ気持ちで過ごしていました。そして、空高く飛ぶ飛行機の白く光る機体を見上げながら、自分もどこかへ行ってみたい、と選挙の話しとは無縁の事を考えていました。
春期講習の終わりは新学期の初めであり、生徒諸君の前には、春期講習で磨いた技量の切れ味を十分に試してみる楽しみが果てしなく待っているはずです。