3月1日より中学生の新学期が始まります。
この時期、私はテキストを手に持って、毎年同じ事を生徒さん達に尋ねています。「皆さん、このテキストの中に何が詰まっていると思いますか」
生徒:「字がたくさん詰まっています」
私:「いいえ、違います」
別の生徒:「たくさんの問題が入っています」
私:「確かにそうだともいえます。このテキストを始めた昨年の3月ころには、確かに、美しい活字と、新鮮なインクの匂いがほのかに漂っていました」
「でも、今は違います。一年間この本を学び終えてから、この本の中に何が入っているかを考えると、答えは違ってきます」
「このテキストの中に詰まっているのは、時間です。皆さんがこの本を通して格闘した膨大な時間がこの本の中に詰まっています」
「ページのどこかを開けてみてください。大げさに言えば、どのページにも皆さんの汗と涙が詰まっています。ページのどこかから、先生の声も聞こえてくるでしょう」
「この1冊の本は、皆さんの歴史が刻まれた大切な本ですから、終わってしまったからと言って捨ててしまわないようにしてください」