中学校に入学すると、誰もが平等でみんなが一様に希望に胸を膨らませ、さして難しいとも思われない勉強を一斉にスタートしてから半年もたたないうちに、通信簿が5と3の生徒群にはっきりと分かれてしまうのはなぜでしょうか。
それは小学校と中学校とでは勉強の仕方が違うからなのです。
小学校で優秀な生徒さんは通常、同級生の子よりも大人であり、理解力が早い生徒です。人は成長段階で個人差があり、小学校ではその差が大きいので、学力差も大きく出ます。
また小学校では「覚える」ことより、「考える」ことに重きを置いていますから、理解力が優れた生徒が勝利し、遅い生徒はおいていかれます。
後者の生徒をどう救うか、これが問題です。算数などは、学校や塾で扱った問題を繰り返し解いて、問題に習熟する事が第一です。これを繰り返していくと、ある日悟達のようなものに達し、これまで謎だったものに、一筋の明瞭な筋書きが見えてきます。「算数ってこうやればよいのだ」となります。
中学校では考えることもそうですが、それ以上に演算や問題処理能力が求められますので、頭で理解しただけで終わっては何にもなりません。さらにその先、様々な問題を速く正確に解くことが求められます。これは小学校時代に勉強にいつもおいていかれた生徒さんが、必死で追いついた世界と同じです。算数の事はともかく、彼はすでに数学の学習法を習得していたわけです。
ですから、小学時代の優秀性が中学での優秀生になるとは限らないのです。その逆が大いにあるということです。
中学に入って一見易しく見えた勉強を侮って、部活動に夢中になり家庭での学習を怠ってしまうと一気に追い抜かれてしまうことになります。そうなった後で挽回するにはどうすればよいか、簡単ではありません。その克服法を知るためには、「いつもおいていかれたあの小学生」に尋ねるのが一番です。