冬期講習が無事終わりました。

冬期講習では、中3生を除いて、とりあえず中1,2年生に限って言えば、1.25カ月分の勉強時間数を10日間で毎日集中しておこないます。

ここからたくさんの成果を得る生徒さん、あまり成果の出ない生徒さんがでてくるわけです。あまり成果の出ない生徒さんはかなり少数ですが、この両者がどこが違うのか、勉強というものを考える時に、とても興味ある事柄であると思われます。誰でも知りたいことでしょう。今回私はたまたまその一端を知り得たので、ご紹介したいと思います。

 

塾に行ったことのない中2生の生徒さんが来てくれたのです。普段はクラブスポーツに専念する故に、塾に行けないのです。その子が私のところに来てくれました。たまたま時間がうまい具合に合ったと云う訳なのです。

塾で勉強したことがないので何もかにもが分からない。そんな生徒さんがわずか10日間で、見違えるように成績を伸ばした事は信じられないことでしょうが、本当なのです。

講習の最終日の国語の時間に、講習の感想文を書いてもらったことで、この驚くべき事実を知ることとなったのです。彼はこう書いています。

 

「初めての授業は英語でした。内容は過去形で、二年生の初めのころに習った事ですが忘れている部分が多くありました。しかし、加藤先生が一つ、一つ丁寧に解説してくれるので、習ったことも少しずつ思いだして来ました」

 

基本的に勉強が好きな生徒さんなのだと思います。塾での授業が学校の授業の記憶を呼び起こしたようでした。勉強の嫌いな生徒さんだと、こうはならないでしょう。本来勉強が好きなのに勉強するチャンスが乏しかったと云う事を私は思いました。

 

「先生が小さなメモ帳を渡してくださったので、言われた通り板書の内容を書き、暇な時間などに見ることにより、覚えるようになりました。それとテキストでしっかりと復習できたのでよかったと思いました」

当塾では、ハンディなコクヨの小さなノートを生徒全員に与え、私が白板で説明したことをすべて書き込ませ、覚えるように指導しています。大学ノートは書いて終わりなので当塾では数学の計算用にしか使わないのです。

 

「冬期講習で英文などをセットで覚えたり、空いている時間に読み返すなど、どうやって覚えるのか、そして復習するのかを学びました」

勉強にあてる時間が何としても少ないこの生徒さんの生き方が「あいている時間」の有効活用という方向に向かっているのがわかります。

何かというと「時間がない」と何事も正当化する人がおります。本当に時間がないのでしょうか。時間が本当にない人は時間を生み出し、何とか活用しようとするでしょう。しかし、時間がありあまっている人は時間の活用の仕方そのものを知らないのです。

この生徒さんは冬期講習での学びを今後に生かそうとしています。

 

「英語以外の授業も分かりやすく、自分が特に問題の解き方などを思いだしたのが数学でした。特に一次関数、一次方程式の問題は初め見た時、なにも分かりませんでしたが、加藤先生の解説を聞くなかで、徐々に分かるようになりました」

数時間の講習の中で中学生にとって面倒な関数を思いだし分かるようになると云うのは少しまれな少数例かもしれません。

 

「自分でも『思い出した!』と心の中で叫びました。冬期講習はすごく良い勉強になってよかったです」と締めくくってくれました。

塾での勉強を呼び水に、次々と勉強を「思いだして」くれたこの生徒さんに敬服します。なかなかこうはなりません。

この生徒さんを見ても「勉強を塾で教えると云うことがどういうものなのか」、少し落ち着いて考えて見ても良いのではないかと思います。