英数研究セミナー卒業論文  打瀬中3年 O君

三省堂 高校1年 クラウン(Lesson 8  Not So Long Ago p112

より翻訳したものです。

有名な「長崎の少年」を含む感動的な文章の翻訳です。ぜひ最後まで読んでください。

 

皆さん、「20世紀を振り返る」展覧会にようこそ。20世紀は、すばらしい科学やコミュニケーションの発展があった時代でした。 人々の生活はより豊かになり、より快適になりました。人々はさらなる自由と平等を獲得しました。そして幸せな生活という夢に近づいたように見えました。

しかし20世紀はひどい戦争の時代でもありました。数百万の人々が生命を失いました。ここにある写真は、私や皆さんのような人々が、20世紀を通り過ぎるのを見せてくれます。

皆さんはこれらの写真を見ながら、「もしこれらの写真があなたの家族や友人であったとしたら、どう感じるか」と、あなた自身に問いかけてみてください。幾枚かの写真はあなたにショックを与えるでしょう。つまりこれらの幾枚かの写真はあなたを悲しませたり、怒らせるかもしれません。でもそれらもまた、あなたに私たちの未来のためのメッセージを送っているのです。この展覧会を見る前に、私はあなたたちに、私たちに特に重要な写真をお見せしたいと思います。

この写真から始めましょう。この写真はアメリカの報道写真家のジョーオダネル氏によって1945年に長崎で撮影されたものです。彼は日本の記者にこの写真について話してくれました。

「私は10歳くらいの少年が私の前を通り過ぎるのを見た。彼は背に赤ちゃんをおんぶしていた。当時日本では、しばしば子供たちが背中に赤ちゃんをおんぶして遊んでいるのを見たものだ。だがこの少年は明らかに違った。私は彼がある深刻な理由からここに来たことがわかった。彼は裸足だった。彼の表情は硬かった。赤ちゃんはまるで、熟睡しているかのように小さな頭を後ろに傾けていた。

その少年はそこに5分から10分ほど立っていた。白いマスクをつけた男たちが彼のところまで歩いて来て、赤ちゃんを支えていたおんぶひもをほどき始めた。その時初めて、私はその赤ちゃんがすでに死んでいることに気が付いた。男たちは赤ちゃんの両手と両足を持って火の上に置いた。

少年は身じろぎもしないでまっすぐ立ったまま炎を見ていた。あまりにも強く、下唇をかんでいたので彼の唇は血で光っていた。炎は沈みゆく太陽のように低く燃えていた。彼はくるりと向きを変えると、無言で歩み去っていった。」

 

次にこの写真を見てください。私は皆さんの中で既にこの写真を見たことのある人がいるのではないかと思います。これは1972年のベトナム戦争の時に撮影されたものです。ここの少女、キムパックは服が燃えたまま、痛みをこらえて道をかけています。これは彼女がまさに以前語ってくれた彼女の体験の写真なのです。

「私には何も聞こえませんでした。でも私は炎が私の周りで燃えているのを見ました。そして急に私の服は炎によって無くなりました。そしてすぐに、私は炎が私の体を覆ったのを見ました。私は泣いていました。そして私は炎の外に走り出たのでした。私は走りに走り続けました。

「気が付いた時、私は病院にいました。14か月間も。私は全身の半分以上を覆う火傷を負った体を治すための17回もの手術を受けました。そしてそのことが私の人生を変えました。その事は、私はどうやったら人を助けられるかを考えさせました。

私の両親が初めて新聞に載った写真を見せてくれた時、私はそれが自分だと信じられませんでした。それはあまりにもひどかったからです。人々はこの写真の中に戦争とは何かを見ることができます。だから、私はすべての人々にこの写真を見てもらいたいのです。それは、子供にとっては恐ろしい体験でした。皆さんは私の表情の中に恐怖のすべてを見ることができるでしょう。私は人々に、この写真から学んでほしいのです。」

このように写真は私たちに多くのことを語ってくれます。これらの写真は過去に何が起こったのかを、私たちに見せてくれます。それらは時として、私たちが見たくないものまで見せてくれます。

20世紀は戦争の時代でした。二度の世界大戦、冷戦、そしてより小さい戦争が世界中で起こりました。ほんのわずかの希望の兆しすらこの写真から見つけるのは、きっと難しいかもしれません。ですが、私たちが試みるなら、見つけることができると思います。

キムパックの物語は良い例です。大勢の人の温かい援助のおかげで、彼女は今、カナダで家族との幸せな生活を楽しんでいます。彼女は言いました。「私は息子に、自分の母親や母の国に何が起こってきたのか、そして二度と再び戦争にならないようにすべきだと教えなければなりません。」

二度と戦争が起きてはなりません。まさにこれが、今日私たちがこの展覧会の写真を通してお届けしたいメッセージなのです。私たちは、これらすべてがそう遠くない過去に起こったことであるとの思いを、皆さんに残したいと思います。