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加藤忠廣「塵躰和歌集」全訳(89)

同十七日 (295)かりそめにうゑし夏菊秋までも 奥里なれば花もながむる   (かりそめに うえしなつぎく あきまでも おくざとなれば はなもながむる) (釈)ふとした思い付きで植えた夏菊が、予想外な

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加藤忠廣「塵躰和歌集」全訳(88)

    おなじく十五日 (292)くもりなき月の光も名をそゑて 庭草までも玉みがく露   (くもりなき つきのひかりも なをそえて にわくさまでも たまみがくつゆ) (釈)曇りなき

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加藤忠廣「塵躰和歌集」全訳(87)

同十一日 (287)あをかゑで暮にもみぢに成べきぞ 秋も八月の詠むら雨   (あおかえで くれにもみじに なるべきぞ あきもはづきの ながめむらさめ) (釈)青い楓の葉も暮れになれば美しい紅葉になるは

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加藤忠廣「塵躰和歌集」全訳(86)

同七日 (283)しきたゑの錦の野辺ぞ千とせまで 千草の花にさくをみなへし   (しきたえの にしきののべぞ ちとせまで ちぐさのはなに さくおみなえし) (釈)千草の花に彩られた敷布の錦のような野辺

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加藤忠廣「塵躰和歌集」全訳(85)

  寛永十癸(みずのと)酉(とり)年八月三日の哥に言へり (279)にしのかた秋来てひかりさし出づる 三か月影のながめたえぬ世   (にしのかた あききてひかり さしいずる みかずきかげの 

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加藤忠広「塵躰和歌集」全訳(84)

同年八月二日の歌に言う。 (277)小櫻の青葉露とふ成る木つき にほひもにたりおなじ花色   (こざくらの あおばつゆという なるきつき においもにたり おなじはないろ) (釈)小櫻ももう青葉に露を置

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加藤忠廣「塵躰和歌集」全訳(83)

同晦日 (275)夏ををしみ初秋までもみそぢ日を そへて月すむながめことなり   (なつをおしみ はつあきまでも みそじびを そえてつきすむ ながめことなり) (釈)みちのくの短い夏をおしみ、季節はは

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加藤忠廣「塵躰和歌集」全訳(82)

同二十八日 (273)しなのなるこはぎにそへてさく花も 露しほれけん山影のには   (しなのなる こはぎにそえて さくはなも つゆしおれけん やまかげのにわ) (釈)信濃にいる小萩に寄り添って咲く花も

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加藤忠廣「塵躰和歌集」全訳(81)

同二十六日 (271)にほひこそ人にはだふれねたるよの むかし恋き契夢路   (においこそ ひとにはだふれ ねたるよの むかしこいしき ちぎりゆめじ) (釈)その手紙にたたまれた匂いこそ、肌触れながら

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加藤忠廣「塵躰和歌集」全訳(80)

同二十四日 (267)秋風にふきてたなびく草木葉の なみにうかべる清き池水   (あきかぜに ふきてたなびく くさきばの なみにうかべる きよきいけみず) (釈)秋風に吹かれて落ちた草木の葉が、澄んだ

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